草むらの恐怖−Fästing−

 

 5月にはいると今まで疑わしかった春の日から一転、スウェーデンに突然夏がやってくる(その後また冬がやってくるのもいつものオチ)。それまで暗い顔で石畳を見つめながら歩いていたスウェーデン人達も、いきなりタンクトップ・サンダルといういでたちで緑の芝生に吸い寄せられる。

 緑の芝生が茂るのが早いのか、それともそれを埋め尽くすスウェーデン人たちが集まってくるのが早いのか。芝生もス人達に太陽光線を奪われないうちにと、この時期は日に日に緑を濃くする。

 太陽さえあればタンクトップ、または水着のお姉ちゃん達が市立公園を占領し、今までスウェーデンが冬だった事実なんて誰も覚えていないような顔をして町を闊歩する人々。この切り替えの早さはここで生きていくための必要条件か?

 しかし、楽しい楽しい芝生ライフにも危険が潜んでいる事を忘れてはいけない。

 そう恐怖の大王、Fästing(フェスティング)が草むらに潜んでいることを忘れてはいけない。

         

 上のポスターは「TBEに感染しないように」と危険なフェスティングが生息する地域を示す地図。右はフェスティング。

 

Tick borne encephalitis(TBE)とはフェスティングによる脳炎で、ウイルスが原因。全てのフェスティングがこのウイルスを保持しているかというとそういうわけでなく、ストックホルムの群島やクリスチャンスタッドなどが危険地帯に含まれる。TBEにかかるとインフルエンザに似た症状(熱、頭痛、体の痛み、疲れ)がおこる。約一週間で回復するが、約3分の1が再び高熱や頭痛などをぶり返す。ウイルスのため特別な治療はないが、ワクチンがあるのでこの時期の新聞記事には前もってワクチンを受けることを勧める情報もよく見かける。

 Borreliaとはバクテリアによる症状。このBorreliaバクテリアを保持しているフェスティングはスウェーデン全土に潜んでいる。この症状はかまれた場所が赤くはれあがる。それから膨れ上がった場所が今度は青みがかった赤に変わる。もちろん一般的な症状として、疲れ、頭痛や熱などあげられる。たまなケースとして神経まで害が及ぶと、一生頭痛や体の痛み、または物忘れなどに悩まされることとなる。

 少々脅かしすぎたようだが、芝生に必ず居るというわけではない。よく刈られた短い芝生はほとんど心配する事はないと思うが、草薮の中、もしくは森の中は注意したほうがいい。自然の中にいく時には長袖と長靴が一番安心な格好で、家に帰ってきたときには、フェスティングが居ないかどうか自分の体をチェックすることとマルメの神経クリニックの所長は注意している。彼のクリニックにはBorreliaの症状の患者はたくさん来るが、TBEの症状を訴える人はさほど多くはないという。しかし注意するにこしたことはない。

 もし刺されてしまったら!(これ以下特に重要。テストにはでないけど)ピンセットなどを使ってやつを引っこ抜くしかない。その時、皮膚に出来るだけ近い部分をつまみ、まっすぐに引き抜く。ヤツの頭が体内に残らないことが非常に重要。刺された場所は消毒し、手も石鹸でしっかりと洗う。

 様子をみて赤みが広がるようだったら病院に行くように。最後にとっておきの気持ち悪い写真をどうぞ。食事中の方は注意。

 

    真ん中の写真、血を吸って膨れ上がったフェスティング。スイカではありません。

 

    こんなのが自分の皮膚にはりついているかと思うと想像するだけでも痒くなってくる。

参考資料・写真 Sydsvenskan 2005/5/24

 

2005.06.08

 

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