ロンドンホームステイ

   ロンドンに味を占めた私は、大学3年の夏に1ヶ月ロンドンファミリーにホームステイした。

 ロンドンには英語の語学学校がたくさんあって、今やロンドンに語学留学というのは珍しい話ではないだろう。

   今回は私が滞在した不思議な家族の話を書こう。

   なんみょうほうれんげ〜きょう・・・

 私がステイした家族は、お母さんと娘さん2人(うち一人は外で一人暮らし)、ネコ一匹、イヌ一匹のランバート一家だ。

 ロンドン中心地から地下鉄で約20分ほど北に行ったところにある住宅街の普通の家だ。

   その家は二階建てで一階は居間と台所とトイレと仕事部屋、台所から庭へと出ることが出来る。

 二階は留学生用の部屋とお姉さんの部屋、お母さんの寝室とバスルームがあった。

 私の部屋にはなんと布団があった。

 「FUTON」といっても布団タイプのベットだった(寝心地はまあまあ)。

 家の床は台所以外は全て絨毯。お風呂場も絨毯が敷き詰められていた。

 ヨーロッパは乾燥しているからこれが出来るんだろうけど、お風呂場で一回水をこぼしてしまった私はドキドキしてしまった(すぐ乾くんだけど・・)。

   ランバート一家はみなベジタリアン。

 お母さんは野菜と魚を食べるが、お姉さんの一人は全くのベジタリアンだった。

 上のお姉さんは私によく仏教についての質問をした。

 私は特に信心深いわけでもない、一般的な日本人なので仏教についての質問を深くされたところでよくわからない。

 しかしどうしてお姉さんは仏教に興味があるのだ??

   その謎が解けた。

 というのも私は初めてのホームステイをしているにもかかわらず、毎日リラックスしているのは何故だろうと思っていたのだ。

 ある夜、夕食後に二階に上がると、お姉さんの部屋から聞き慣れた呪文と嗅ぎ慣れた匂いがただよってきた。

 なんとお姉さんは信心深い仏教徒だったのだ!

   だから毎晩、この嗅ぎ慣れたお香の匂いで、私はリラックスしていたのかぁ・・。

   威勢のいいお経を読む声と、間に入るチンチーーンという音が妙にロンドンの町にミスマッチでおかしかった。

   リス

 ロンドンの住宅地や中心地でも公園を歩いていると、頻繁に見かけるのがこれ。リスだ。

 それまで野生のリスなんて日本で見たことがなかったので、嬉しかった。

 朝、台所で朝ご飯を食べていると、庭の塀の上をチョロチョロチョロ・・っと走るのだ。

   公園などに行くと、たまにリスおじさんがいる。

 おじさんの肩や頭や腕の上にたくさんのリスが座って、餌を食べているのだ。

   一ヶ月の滞在だったが25枚しか写真を撮らなかった私。

 しかしそのうち5枚がリスの写真だった。

   小切手

 欧米の人は現金をあまり使わないと言われているが、小切手での買い物をここで初めて体験した。

 ステイ先のお母さんとたまに一緒に近所の食料品店に買い物に行くのだが、お母さんはその小さな買い物ですら、面倒くさそうな小切手で支払っていた。

   いつもの昼食

 ステイ先では朝ご飯と晩ご飯は作ってくれるがお昼は自分で食べなくてはならない。

 毎日語学学校に通っていたので、お昼は学校か、それから町に出て町で食べるかの2通りだった。

 学校での定番は紅茶とサンドイッチ。

 サンドイッチは日によって中身がかわる。紅茶は私はよくレモンティーを飲んだ。

 何気ない昼食なのだが、こぢんまりとした学校の中庭に座って食べるサンドイッチは美味しかった。

   町でよく食べたのがフィッシュアンドチップスだ。

 ロンドンの名物料理なので多くの人が食べたことがあるだろう。

 なんて事のない揚げた白身魚とフライドポテトなのだが、他にあまり美味しいものがないロンドンではご馳走だ。しかもどこでも数ポンドという安さ。

 かならずケチャップとビネガーが置いてあるが、まわりを見ているとこれでもかってほどビネガーを振りかけて食べる。

 べちゃべちゃになるほどかけるのだ。

 しばらくやっていると病みつきになる、ビネガーべちゃべちゃのフィッシュアンドチップスだった。

   スウェーデンではもはや国民食と言ってもいいだろうケバブを初めて食べたのはロンドンだった。

 私が行った当時、スウェーデンでよく見かけられるような屋台ではあまり見かけなかった。

 これも安い昼食でよく食べた。

   ステイ先での食事

 前にも書いたように私がステイしていたお家は全員ベジタリアンだった。

 なのでよく海外に滞在すると太るという定説をうち破って、私は一ヶ月の滞在中、全く体型が変わらなかった。

 彼らのお陰だ。ロンドンのママ、ありがとう。

   朝食は薄いパンにジャムやマーガリンをぬった物とコーヒーか紅茶。

 イギリスのお宅なんだからと期待していったが、うちで飲むお茶は全て日本で使っているようなパックティーだった。

 もちろんポットなど使わずに、直にマグカップに入れる、まさに日本と同じスタイル。

   そうだ、だって日本人が毎日寿司とすき焼きを食べているわけでもない。着物だって年に一回着たらいいほうだ。イメージなんてそんなもんだ。

   でもお茶を飲む回数には驚いた。

 日本茶でもよく考えたらそのくらい飲むのかもしれない。

 うちの母も最低3回は緑茶は毎日飲んでいるだろう・・。

   しかし滞在中、紅茶を飲む機会が、一日に6〜7回だったときには、イギリス人の膀胱を疑った。

 私は彼らに合わせてお茶を飲んでいると、トイレにいくほうが大変になってくる。

 しかも彼らはガブガブ飲む。

 恐るべし紅茶の国・イギリスだ。

   昼食は前にも書いたようにほとんど外で。

 あ、この時だけだ、肉を食べていたのは・・。

   夕食は毎日午後7時ぐらいから。

 もちろん全て野菜のメニューだ。

 よくイギリスの料理はまずいと言われる。

 ・・・そうなのかもしれない。でも私が感じたのは、非常に素朴な料理だなぁってことだ。特に私が滞在したうちがベジタリアンだったからか、野菜の本来の味を楽しむことが出来た。

 悪く言うとあまり巧妙な味付けがされてない。

 結局・・まずいのか??

   でも私は1ヶ月間美味しく食事をすることが出来た。

   ある日お隣さんがリンゴが余ったからとリンゴを持ってきてくれた。

 お母さんと私は早速そのリンゴを使って、アップルクランブルを作った。

 リンゴを適当に切り、その上に小麦粉・砂糖・バターなどを混ぜたものをのせてオーブンで焼くだけの物だ。

 でも美味しかったぁ。あの味は今でも思い出すことが出来る。

   面白かったのは、この家のネコとイヌは肉を食べていること。

 彼らまではベジタリアンにはなれなかったのだ。

   これらが私がステイ先で食べていた普通の(?)ご飯だ。

   夏でも革ジャン

 私が滞在した夏はとても寒かった。

 雨なんか降ると凍えるくらいに寒かった。

 8月なのに革ジャンを着ている人もいる。

   サンダルなんて履けたもんじゃない。

 寒くて寒くて、とうとう部屋には暖房がつく始末だ。

   イギリスって本当にお天気が難しいところだな。

   こんな感じで私のロンドン1ヶ月が終わった。

 午前中は語学学校に行き、午後からは町へ出て町中の博物館・美術館巡り。

 のみの市をのぞいたり、近くのスーパーへ行ったり、新聞を公園の芝生の上にねっころがって読んだり・・・いわゆる贅沢な普段のロンドンを満喫できた1ヶ月だった。

   もちろんびちゃびちゃのビネガーの味が忘れられず、お土産にはビネガーを買って帰った私だった。

 

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